スノウホワイト グリムのような物語

スノウホワイト グリムのような物語

諸星大二郎グリム童話シリーズ第2弾。「狼と七匹の子やぎ」「白雪姫」「ラプンツェル」などの有名な作品を始め、全12作品を収録しています。
グリム童話っていうのはもともと荒唐無稽で投げっぱなしな作品が多いように思う(最後に「みんな死んでしまいました」とか)。そしてその不気味さや何とも言えない読後感を楽しむものだと思うんだけど、その全てが諸星大二郎の作風と見事にマッチしていてヤバい。所々の現代風なアレンジも新鮮で面白い。
原作通りに人間以外の登場人物(?)も多くいる。みんな擬人化されて二足歩行してるんだけど、絵にしてみるとこれが本当に不気味。これはもう漫画にしてみて正解。特にソーセージ。ソーセージに手足が生えてるとかヤバい。気味悪すぎてたまんね。食われるし。カワイイ動物が擬人化されてるが故に人間的な汚さが浮き彫りになる、って効果も良い感じ。
「とりかえっ子の話」も面白い。ヒトラーとかスターリンとかチェルノブイリとか原爆とか9.11とか出てくる。
ただ一番最後の「金の鍵」は蛇足だと思った。というかもっとやりようがあったと思う。変に弄って俗っぽくさせるよりは忠実に再現した方が良かったんじゃ。後書きで作者自身も言ってるけど。
作品全ての感想書くとどうしてもネタバレになるんでやめますが、ドロっと溶けて一つになったり(せんぱい、せんぱい、せんp…)、頭がパカっと割れて中からソーセージが出たり、何の理由もなく動物たちに一方的に虐殺されたり、死体が動いたり、そういうワケ分からん理不尽なものが好きな人は是非読んでみて下さい。