恋空

恋空~切ナイ恋物語~ 1 (ジュールコミックス COMIC魔法のiらんどシリーズ)

恋空~切ナイ恋物語~ 1 (ジュールコミックス COMIC魔法のiらんどシリーズ)


皆さんこんばんは。
スクリーミング・マスターピースを見ても
Bjorkしかわからなかったサブカル被れのNEGIです。
あくまでも被れているだけです。


さてさて今日ご紹介するものは恋空。
「こいそら」です。
純愛の素晴らしさ、どんな困難も愛があったら乗り越えられる!!
本気で好きな人と読んでください。泣けます。


…と誰かのリアル日記で携帯から授業中に書かれて、それを見た友人が「超イイ」とかコメント貰っている様子が想像できますね。
そんな恋空を読んで感じたことを言葉足らずですが書き綴ってみようと思います。


羽田伊吹の嫌味にならない描き込み具合と、描写の丁寧さは作品全体を通して繊細かつ大胆に描いていると思います。コミカライズ特有の“つまらなさ”がもっとあるかと危惧していたのですがそれは杞憂でした。ケータイ小説特有の制限された文字数の中でドラマティックに演出しようという原作者の意図を十分に掴んだ描写とマンガは相性が良いようで、「Comic魔法のiらんど」なんていう月刊誌が現れたことからもマンガ界に新風を運んできてくれました。


そのケータイ小説なんですが、小説そのものも実際に読んでみて十分に評価に値するものだと感じています。それを表現が稚拙、性描写が多いと称して読むのに値しない、と言い切った批評家の言うことを聞いて、読まないのだとしたらそれはもったいない。確かにつまらないと発言する批評家の言い分は一理あること確かですけれども*1、それ以前に恋空がリアルな体験ドキュメンタリーだったとしても、作者がいる以上パラレルワールドの御伽噺に過ぎないのです。そういうことを前提にして読んでいないのに「ケータイ世代だから」とジェネレーションのせいにして読まないことは批評以前の問題になってしまいます。*2


なら一度、恋空を読んで、子供の「リアルで泣ける」なんていうコピペ批評に対して「イベントごとが多すぎて、それぞれの感情描写が薄い。泣くと言う行為にはうれし泣きとマジ泣きしかないのか。」ぐらいの最低限の反論はかましてやってこそ、批評家としての何かが立つんじゃないのでしょうか。

というわけでマンガ批評の皆さん、是非ケータイ小説マンガを読んでください。そして光る原石を見つけた暁にはマンガ界の期待の星として是非個々人で楽しんでみてはいかがでしょ。

*1:メイン読者層の10代の女子高生より少し長く生きている私ですら“愛がなくても喰っていけます”と感じたり、“オンナノコの正体”がゲテモノであることを知っていて、人間が快楽に流されてしまったことを“痛々しいラヴ”だったねと水に流してしまえると気づいてしまっているのです。それでも痛々しいものを求めるのであれば、同じように青春の純愛を求めるのもまた事実なのかもしれないと思います。

*2:でも、読まなくてもわかるっていう考えも事実。私ぐらいになれば読まなくてもわかるのです