21号@小学館

名探偵コナン@[青山剛昌]
やっぱり青山剛昌はある一定レベルの漫画をある一定レベルの絵柄で排出するのが上手。阿笠博士を時間稼ぎ役に使うというのは毎度のことだが、そうでなくても後々登場するキャラクターの「今」を描くタイミングが巧みだ。それ以外には各キャラクターの行動の必然性に気を配っているのが見て取れる。これは各方面で散々言われてきたことなので深く追求しない。今回は元太にスポットが当っているが、上り梯子の罠の場面で、梯子を見つけてしまう光彦、落ちる直前のシーンの灰原の表情及び落ちた直後のコナンの反応、ババァが突然起きて泣く歩美といった具合である。でもなんの感想すらも持たずに読み終わる漫画って電車の中で読むものとしては商品価値が高いのかもしれない。
焼きたて!!ジャぱん@[橋口たかし]
本当ならとっくの昔にいなくなってもよかったピエロ。このキャラのせいでジャぱんの勢いはなくなりました。本来なら金色のガッシュ同様全く取り上げる価値すら見出せないのですが、今回は事情が事情でして。というのはあるコマの酷さ、もとい「あざとさ」。そのコマとは当然レストラン「麻」の部分。いくらなんでもこれはないだろう。このコマ以前にピエロ教の信者が怪しい声援を送っているコマがあったが、それを遥かに凌ぐ。しかし見るべきところはそれだけで、俯瞰するとどうしても料理漫画溢れるこの世界に生み出された一つの駄作としか受け取れないのが悲しい。求む!ピエロ死亡!
こわしや我聞@[藤木俊]
一部のサンデー厨の間で絶大な人気を誇るらしいこの作品。実は僕もこういうのほほんとした作品は好きだ。ある程度漫画の技法を身につけており、話の展開を安心して追いかけることができる。他のサンデー作家と比べても変な「プロの臭い」がしないところは特筆に価する。今はあらゆる過去の漫画の方法を持ち出して、それを自分なりに咀嚼している最中といったところか。まだ連載して三ヶ月しか経っていないが、これからの発展が楽しみな作家であることは間違いない。
思春期刑事ミノル小林@[水口尚樹]
ずっと読んでなかったがこのレビューの機会に読んでみようとしてあえなく撃沈。サンデーにすら必要ない漫画であることがはっきりした。この漫画をどのように評価してくれよう。この漫画の不要性を三つの場面から取り上げようと思う。まず妹の現れ方がマガジン的偶然性に支配されている。つまり出てこない方がいいってこと。次にお兄ちゃんの膝蹴り。僕が小学生の頃に弟に対して行ったことと同じであるが、今更見ても何も面白くない。このために使われた1ページは全くの無駄遣い。正直ネタがないんじゃなかろうかという疑心暗鬼まで出てくる始末である。最後に妹の「お父さんに言いつけてやる」発言。これは小学生を通過した人ならば絶対に一度はやってしまったものであるが、この展開でこのような発言に至るのはおかしい。もう少しミハルの泣き顔場面を引き伸ばしてもよかったと思う。この漫画全体に言えることだが、展開の速さを求めてそれに縛られ、逆に話が全く展開しないという事態に陥っている。
全体
サンデーという息絶えた雑誌をレビューするのは骨が折れる。特に今回、いつも目を通すことすらない作品についても真剣に読んだため、ストレスは溜まる一方。悪い意味でサンデー賞を受賞するのは間違いなく「思春期刑事 ミノル小林」。他の追随を許さないキングオブ駄作!同じ水曜日なら間違いなくマガジンの方が読めると思わせる最近のサンデーのヤバさを象徴するかのような作品。小学館はいい加減真剣に新人発掘をすべきである。いくら毎月新連載を始めるといってもそれは今までの作家に頼る部分が大きい筈だ。それではサンデーは復活しない。(文責:LeQ)