27号

はじめまして。新人のノブオです。突然ですが、皆様は「サンデー」に如何なるイメージを抱いていますか?どうもジャンプやマガジンに比べると、雑誌としての座りの悪さ、例えば「俺はサンデー読んでるよ(苦笑)」「ああ、サンデー(苦笑)」と、常に語尾に(苦笑)が纏わりついているような気がしてなりません。今回はレビューを通じて、少しでもサンデーからこの(苦笑)を取り除いてみたいと思う。

金色のガッシュ!! 雷句誠
外伝的4コマ。雷句先生は勢いで笑いに持っていかせるのが非常に上手い。最近のギャグ漫画が「ナンセンス」や「シュールさ」を売りとしたねじれた傾向にあるのに対して、これは未だに直球で笑いをとってくる。しかも古さを感じさせない。王道であり貴重、一見矛盾した笑いがまだ生きているのは純粋に嬉しい。
結界師 田辺イエロウ
オススメ。全体を通じてテンポやコマの作りが丁寧であり、読者の呼吸を読んでいる印象を受ける。大御所連載陣は明らかにこの配慮が欠けており、サンデーを(苦笑)たらしめている一因でもある。そういった意味で、この読者を置いていかない配慮は素直に好感が持てる。緊張感を伝えるのも上手い。新章突入ということですが、どうもサンデー漫画の特徴として、「話が壮大になるほどつまらなくなる」というのがあります。おそらく作者の持つ世界のみがオーバーヒートして起こる現象だと思われますが、この作者ならその心配はなさそうです。来週表紙。
緋石の怪盗アルバトロス 若木民喜
読み切り。設定に若干の古さはあるものの、テンポよく読ませる軽さは評価出来ます。ただ、怪盗モノの肝である「侵入→宝入手→脱出」の過程がすべて「アルバトロスの持つ魔法的な何か」によって行われているのはどうでしょう。連載になった際、膨らませ難そうではあるし、何より怪盗モノのファンが納得するのかといった疑問が残ります。萌え漫画と解釈するならあるいは。
美鳥の日々 井上和郎
今回のような「耕太が美鳥を元の体に戻そうと四苦八苦する話」は、この漫画のストーリ上鍵となる話だと思います(美鳥が戻ったら完結するという意味で)。しかしこう何回も鍵を出しては引っ込め出しては引っ込めでは、その重要度や読者の緊張感は下がります。今回でそのループから抜け出せることを祈るばかりです。余談ですが、作者は仕事中にくるりナンバーガールを聴いてるとのことですが、別段BGMから作品へインスピレーションを受けたりしないんですね。当たり前ですけど。
かってに改蔵 久米田康治
「サンデーではこれだけ読んでる」という方も多いのではないでしょうか。テンプレートがあるかのように毎回同じ構成に小ネタを合わせただけ。なのに全く飽きさせない。これはひとえに作者の観察力、そして引き出しの多さからくるものでしょう。しかしそのテンプレートが仇となり、最後の「地丹オチ」のバリエーションが少しワンパターン気味。読後感が薄れてしまうのは勿体ない。もう一工夫欲しいところです。
まとめ
今のサンデーが(苦笑)されている原因は、連載陣に温度差があることだと思います。読者の空気読みつつ生き残る為に必死な新人、あくまでも我が道を行く大御所。作品一つ一つはなかなか読ませてくれるものの、雑誌を最初から通しで読むとちょっと辛い。今後の課題は編集がどう安定させていくかにあるのではないでしょうか。個人的にはもっと読み切り増やして、新人発掘して欲しいところですが。それでは。愚痴たらたらの日記もよろしく。(中目黒のカフェでハーブティーを楽しみつつ ノブオ)