29号

おはようございます。丸木戸です。さて唐突ですが漫画は誰のために存在するのでしょうか?もちろん広い意味では『漫画を読む人のため』です。でもそれはかならずしも(例えばこのサイトをチェックしているあなたのような)漫画を本当に好きな人のためと同義ではありません。つまり僕、あるいは班員を含めた漫画読みが認める漫画ばかりが雑誌でいい扱いを受けるというわけではありません。ようは漫画の商品価値という話ですが。少年誌レヴューをしてて自分の評価と人気の差にどうしても納得できなかったのは、少年誌ではその漫画の商品価値を評価の重要な要素にしているからなのでは、と今回サンデーを読んでいて強く感じました。

DAN DOH!! 坂田信弘 万乗大智
なぜ今アニメ化なのか。それは冒頭の話にもつながりますが、この主人公である少年が幾多の試練を己の才能と努力で乗り越える、そのプロットが凡庸であるゆえに多くの人間の支持を受けるからなのだと思います。少年誌をいい年した大人が読むのはもはや珍しくもなんともないですが、大人が『陳腐なストーリー』と評するものでも子どもにとっては初体験のはず。だからこの僕からすればいまさら感漂う漫画が受けてても不思議ではないのです。
金色のガッシュ!! 雷句誠
比較的リアル少年でも漫画読みでも評価しうる作品だと思います。その理由は雷句のギャグセンスに尽きると僕は思うのです。いやもちろんバトル漫画に必要な『泣き』要素の充実も評価すべきですが。今回の話にかぎってはギャグが漫画を引っ張ったな、と。いや正直並のギャグ漫画より笑えましたよ。
名探偵コナン 青山剛晶
今回も全体のストーリーの核心に迫りながらも結局無限ループを維持する方向になりました。いまさら『コナン』をその点で批判するつもりはありませんが、『どらえもん』等とは違い結末が必ず存在するこの漫画。ある意味無限ループ漫画に対するアンチテーゼなのでは?というと誉め過ぎか。
結界師 田辺イエロウ
この漫画こそ『少年』でも『漫画読み』でも納得しうるレベルの漫画でしょう。勝因は人気取りのために連載当初から無理に話を大きくせず、キャラ、設定等をじっくりみせていったことだと思います。たしかにプロットは『凡百のバトル漫画』とそれほど違いはないのですが、凡百のバトル漫画とは何が違うのか?それは『才能』と評されるものではなく物語りに対する『誠意』によるものと僕は感じました。
MAR 安西信行
さて『漫画読み』であればあるほど眉唾つけて読みたくなるこの漫画。でもすれてない人間ならこの漫画、素直に面白いと感じるとおもう。キャラの作り方は王道ではあるが決して間違ってないし、さすが長期連載経験者だけに盛り上げ方溜の作り方を知っている。もし僕が傑作と呼ばれる長篇ストーリー漫画を知らなければ普通に楽しめたはず。つうことは裏を返せばそういう漫画をしらない人間にとっては普通に楽しめる漫画なのではないでしょうか。
美鳥の日々 井上和郎
すいません。この漫画舐めてました。今回読んだ最初の感想はそれです。つうか今回のMVPはこの漫画です。主人公の男がいろいろな女に言い寄られるというどこにでもありそうなこの漫画。今回はサブヒロインが主人公に告白するという回だったんですが、その演出がとても好感もてた。回想シーンを交えつつ実はあなたのことが好きでしたとつたえる、しかしサブであるがゆえにその気持ちは決して実を結ばない。その切なさが伝わるとてもいい回でした。この作者はラブコメではなく正面から恋愛を描いた方が才能を生かせるのかもしれません。
暗号名はBF 田中保佐奈
ある意味結界師と同じように設定やキャラをうまく説明しつつここまで連載してきたと思うのですが・・・。なぜか掲載順は後ろ。そんなにマニアックな内容とは思えないんですが。やはり『こんな能力あったら使ってみたい』と思わせる結界師のほうがアンケートで有利なんでしょうか。
からくりサーカス 藤田和日郎
すいません。主観でちょっと言わせてください。連載追っている人間からすると今回の展開はいやでも盛り上がりますよ。多分そうでない人からすればよくわかんないでしょうが、とにかく燃えたんです。
総評
サンデーをこよなく愛する人間からすると『漫画読み』から非難される度「そうじゃないんだよ」と弁護したい気持ちになりつつでもどこか心の底で「そういわれても仕方ないよね」って思ってました。んでなんとかその評価を変えようとサンデーレヴュ−をしてきたわけですが、とても成功したという実感は湧きません。そもそも「なんでそこまでサンデーを擁護するの?」と言われれば僕自身よくわかりません。でもサンデーを新規参入しにくいと言う理由以外で軽視する漫画読みは信用できないなあ。

(マルキーはオレが殺した 丸木戸茶度)