30号

銀魂 空知英秋
かつてのコミックビームばりのネガティブキャンペーンでびびる。いやウソだ。玉吉のは本当にネガティブだったが銀魂のにはむしろ編集部の愛を感じる。漫画の内容に関しては可もなく不可もなく。やっとでてきた坂本竜馬じゃなかった坂本辰馬のキャラ造型も予想の範疇だったし。特筆すべきところは他にありません。
アイシールド21 稲垣理一郎 村田雄介
圧倒的なスピード感と絶妙なプロット展開でどちらかといえばスマートな作品だったが、ここ最近桜庭にスポットがあたった回くらいから急速に熱い展開をみせている。少年マンガにおける名作と呼ばれるスポーツマンガはすべからく”熱さ”を作品に昇華している。作者のテンションがキャラのテンションに火をつけ、それがマンガ全体のテンションをあげキリキリと高みに登り詰める。もしかしたらひょっとしたらこの『アイシールド21』もそうした作品に肩を並べるかも、と個人的に期待度が上がりました。
HUNTER×HUNTER 冨樫義博
ようやく帰ってきた〜、と喜ぶ冨樫信者の丸木戸ですが今回自体は特に何もないです。ただ相変わらずの背景手抜きとかどうよ。どうせ単行本作業の時手間かかるんだからちゃんとやれよ。まあ長期休暇明けだしこれからNGL編も盛り上がるところなんで、なんだかんだいって期待はしてますよ。
スティールボールラン 荒木飛呂彦
さてとうとう悪役の登場です。荒木マンガ(つうかジョジョ)は基本的に正義の物語なのでこれからが真骨頂といえるかもしれません。が、逆にいえば今まで通りになるのかという不安もあります。今回ラストに登場したのがラスボスなのか(その可能性は低いと思うが)、それともあくまで主役はレースなのか。今後の展開に要注目です。
D.Gray-man 星野桂
さて画力はジャンプ連載陣とくらべても遜色なく、また設定および設定が生み出す世界観も見どころを感じさせます。でもこの作品が十週残るかどうか非常に微妙と言わざるをえません。その理由はまずストーリーの練りが足りないこと。まず設定を理解させようと連載初期に説明ゼリフを多用してしまった。それゆえに(ジャンプバトルマンガでは重要な)キャラの魅力を引き出せず、マンガ自体も読み難くなってしまった。またせっかくいい(だろうと思わせる)世界観も演出でいくらでも生かせるのにしなかった、もしくはできなかった。つまり一言でいえば読者が置き去りにされたままマンガが進まれているということです。あれほど絵の固定ファンのおかげでもったと言われる『BLACL CAT』もマンガ自体は非常に読みやすかった。となると・・・。絵だけではやってけない、けれど絵は超重要。かくもマンガはきびしいものです。
地上最速青春卓球少年ぷ−やん 霜木凡ケン
一流会員制サロンにライバル出現。まあそれ自体は百歩譲って許すとして、それを全部セリフで説明するのってどうだろう・・・。第一回目の時もヒロインがヒロインであることを全部説明セリフで済ませていたし。これは作者のくせなのか?こういう回顧的なことはあんまり言いたくないけど『ジョジョ』ではじめてディオが登場した時は説明セリフなんか使わなくても、絵とコマ割りだけで「こいつはなんか違う」ってことをちゃんと表現してた。せっかくマンガという媒体を使っているんだからその武器を最大限に使わなきゃ。動きでみせたほうが作者にとっても読者にとっても幸せだと思うんだが。『説明セリフ』ってのは使うのは作る側にとってはすごく楽に話を進められるんで重宝するんだが、上手く使わないと自分の首を絞めることになる。
いちご100% 河下水希
なんつうかこれがシンクロニシティってやつか?『実鳥の日々』と時同じくしてこの作品も終わろうとしている?この作品、風呂敷の綴じ方によっちゃあ良作にならないこともないわけだし、作者にその実力はある・・・と信じたい。でもこちとらあ何度も寸止め食らわせられてんで油断はできませんがね。でも今回はいつもと雰囲気がちがうなって、いややめときましょう。いずれすぐわかることです。
総評
なんというか今回の新連載ははたして意味があったのでしょうか。たしかに雑誌は定期的に新連載を入れて新鮮さを保つ必要があります。でも見切り発車でやるくらいならやらないほうがましかと。これじゃ『スピンちゃん』は浮かばれないですよ。あやうく『武装錬金』まで首取られそうになるし。いいかげんジャンプは新人発掘だけでなくちゃんと育てることも考えようよ、って何百回目かわかんないけど思った。

(ぬき足さし足 丸木戸茶度)