9月号

テストに万全をきたすためコーヒーを5杯飲んだせいでどうも動悸がおさまりません。テストですか?ええなぜバブルが起きたかこれでもかってくらい書いてやりましたよ。どうせバブルの発生の要因なんて三日で忘れますけどね。 そりゃ馬鹿になるよ、日本の大学生。いやそうじゃない人も沢山いるよ・・・多分ね

フリージア 松本次郎
トシオ編決着。自分が生き残るためなら(仕事のためなら)なんの躊躇もなく人を殺す完全サイコパスであるヒロシが主人公のこの漫画。今回のターゲットは人の良心のかたまりのようなトシオだった。山田を除けば人間らしい人間がでてこないこの漫画でトシオは明らかに異質だった。そんな対極に位置する二人の対決はこれまでの『フリージア』とは違った読後感を与えてくれたように感じる。しかし合も変わらずヒロシは自分との関係でしか他人を認識できない。静かに狂っていくヒロシに今回初めて悲しみを感じた。
ナンバーファイブ 松本大洋
自分の理想があらかじめプログラムされたものだと教えられたマイクはそれでもこう呟く「例え人工の思想でもそれは僕のものでしょう?」。植え付けられた思想とは博愛とその追求だった。全てを知らされてもマイクはそれを捨て去ることができなかった。あくまでその思想は自分が作り出したと主張するPAPAとは決してコミュニケーションを取ることはできなかった。そしてマイクはその思想を捨て去ることなくPAPAを殺そうとした。愛ゆえに相手を殺すマイク。しかしそれは同時に愛と殺人の両立という矛盾を抱えることになる。もはや狂気の王と化したマイクの前にあの男が再び立とうとしていた。(どこの映画の予告編だ、コレ)
ナツノクモ 篠房六郎
編集部の意向だかしんないけどかなり読みやすくなった。てこ入れとはなんでもかんでもエロをいれなくとも可能であるということの実例を見た気がした。篠房は過剰にエンターテイメントを意識した時のほうが冴えている気がする。
麦わらドリル 原一雄
やっぱ原は短編作家なんだなってのがよくわかる短編。奇抜な設定を違和感なく挿入し単なるアイデアで終わらせずにちゃんと物語として消化する手腕はさすがと言える。個人的に短編=長期連載のプレ版としか考えないジャンプ編集部に読まして感想文を書かせたくなった。
ライドバック カサハラテツロー
しばらく読まない内になんだか大変なことになってた。実は超大国と反勢力の間で闘争があった?しかも民間人には知らされていない事実?それは腐ったジャーナリズムが国民に隠ぺいしたせい?しかも主人公の女の子はその闘争におけるイコン(聖母的象徴体)になるだろうって。ちょ、ちょっと待って。全然ついてケませんって。伏兵は意外なところに潜んでいた。
ぼくらの 鬼頭莫宏
十五人の少年少女がロボットにのって地球平和を守る漫画というとありがちに思われるがそこは鬼頭。なんとロボットを操縦した奴は代償として命を奪われるのだと。んで侵略者に負けても地球がジ・エンド。えげつねー。元々鬼頭は長期連載中でも意欲的に短編を発表していたのだからこういう一話完結のスタイルはあってるのかもね。いたずらに話が壮大になったり、あっさり重要人物が死んだりとかそういうことなくちゃんと今度こそ話をまとめてくれることに期待。
平凡ポンチ ジョージ朝倉
序盤はいってみればクドカン的センスでスピーディーに物語が転がっていたのだが、いつの間にか人間関係のドロドロした展開に。初期のノリがすきだったので少し残念。
鉄子の旅 菊池直恵 横見浩彦
いいかげんマンネリしてきた感があるが、今回のなぜこの企画が始まったのがという話はおもしろかった。あとそれの見せ方ね。横見のキャラばかりが評価されているけどこういううまさもちゃんとあるんだと実感。そろそろ普通の漫画を描かせてもいいんじゃないですかねえ?しかし初対面で横見氏のベストな使い方をおもいつくとは、あなどれんなIKKI編集長。
かげろうの日々 押切蓮介
ヤンマガで『どろどろ』を連載している押切の短編。だが基本ができるからこそ応用もできるという事実の確認以外は特に何も感じなかった。
総評
発刊された当初こそ勢いの感じられたIKKIだけどそれも今は昔の話。一見サブカルにみえて実はエンターテイメントな作品ばかりというのは人によって評価の別れるところだろうけど。前号から始まったおまけに小冊子の漫画をつけるという試みも、おまけにフィギュアばかりつけるライバル誌への当てつけみたいでおもしろい。今回は夏ということでホラー短編集だったのだが、装丁がもろ角川ホラー文庫を意識してておもしろい、とおもったら装丁同じ人じゃん。どうでもいいフィギュアよりは漫画を読む人のこと考えているみたいで好感度大。(飛び下りたら丸木戸茶度)