かってに改蔵。

遂に最終巻26巻が出た『かってに改蔵』。
ぶっちゃけ今まで載ってた漫画をレビューしたってしょうがないので、
単行本のみに掲載された「大蛇足」についてちょこっと。

結局あの病院が何だったのか、
今までの舞台が何だったのか、
それについての作者から読者への一つの回答。
そんな回答を出した作者はよく考えている。

作者の自虐ネタを最後の最後まできっちり挿入したのは偉い。
いや、出さなければ出さないでよかったけど。

地丹の扱い、これはこれでいいというか、
「知らぬが仏」という言葉があるように、
井の中の蛙である彼にとって、
あの閉鎖空間内での幸せも大切なのだろう。
その点で、地丹というキャラを使い切った作者は立派。

一般社会に復帰した(と思われる)改造の最後の台詞、
「このさい蛇足っちゃいませんか?」
かってに改蔵』という漫画は、
毎回このような主題提示からスタートしていた。
その点で漫画の永劫性というか、回帰性というか、
そういったものを表現している。
例えば『ラブひな』なんかもそういったラストだった。
だから、久米田は赤松には及ばないものの、
一定レべルを超越した漫画家だと言い切ってよいと思う。

最後に、あの部長や地丹の母親、病院の院長やその他ナース達。
彼らはずっと改蔵の脇役として出続けたわけだが、
彼ら自身が実は患者という可能性はありませんか?
僕は案外こういうことだったんじゃないかと思いましたが。
つまり、みんな夢を見ていた、と。

(LeQ)