錆びた眼差し 見飽きたのさ

どもご無沙汰、ザンギュラです。漫画のことについて適当に語るっていう、限りなく自分の首を絞める行為に賛同したことにちょっと後悔しちゃったり。


デブなのかスマートなのかよく分からない
今回はグレートメカニックに連載中の「装甲騎兵ボトムズ A.T VisualStory」のAct.6についてお話します。と、その前に「装甲騎兵ボトムズ」について軽く説明します。この作品の舞台であるアストラギウス銀河ではギルガメスとバララントという2つの勢力が戦争を繰り広げており、物語は「100年戦争」と呼ばれるこの戦争が終わるところから始まります。この作品にはアーマード・トルーパー(以下A・T)と呼ばれる人型ロボットが両軍を通して主力兵器として登場しますが、主人公キリコは次々と機体を乗り捨て、また機体やパーツもどこにでもあるというぐらいA・Tは作品世界に普及しています。この、主役ロボが存在しないという点がこの作品の大きな魅力の一つとなっています。

A・Tは大きく分けて3種類に分類されます。最も普及しているタイプがミッド級と呼ばれるタイプで、主人公キリコが主に使用したスコープドッグもこのタイプです。次に普及しているタイプがヘビー級と呼ばれる重量級の機体で、今回の漫画に登場しているスタンディングトータスはこのタイプの代表機種です。


嗚呼、素晴らしきかなトータス
さて、やっと本題。このAct.6ではバララントの兵士が機密資料を狙って襲ってくるスタンディングトータスから逃げるというもので、これだけだとなんだかフツ〜の漫画みたいに聞こえるでしょう。しかし、これが読んでみると分かるのですが、なんというか「ハリウッド」なんですわ。火炎放射器を手に持ち、基地の壁をブチ破り、銃弾をものともせず襲いかかるその姿はまさしく「ハリウッド」。ある時はターミネーターのような怪人的描写で、またある時はエイリアンのような怪物的描写で襲いかかるトータスは、これまでのボトムズ、いや、ロボットモノではお目にかかれないものです。そもそもロボットの恐怖演出なんて、せいぜいサイコガンダムのようなただ巨大なだけのものでしかなく、どちらかといえば現実感に乏しい、ある意味怪獣映画程度の恐怖感でしかなかったのです。今回の漫画の場合では、逆に全高4〜5mという小さいロボット、A・Tを追跡者にすることにより、追われる側の「身に迫った」恐怖を見事に演出しています。しかもスタンディングトータスはA・Tの中でも大型のヘビー級で、その力強く重厚なフォルムは、壁を破壊すること一つとっても抜群の説得力を発揮しています。小さくて大きい、そんな絶妙なバランスは、A・T、そしてスタンディングトータスだからこそ実現できたのです。

余談ですが、お堅い作品と思われがちな「ボトムズ」も実際は結構イイカゲンでして、その最たる例が実はこのスタンディングトータス(ホントは湿地戦用のタートルのほうが出番は多いのですが、まあ形的には殆ど同じようなモンです)なのです。A・Tはパイロットが乗り降りするときに「降着姿勢」という形態に変形します。すねから下をそのままに、足のフレームごと上半身がすねの前に下りる(分かりにくい…)のですが、このスタンディングトータスのすねはどう見てもフレームが前に出せるような構造になってはいないのです! 実際プラモデルなどでは降着姿勢はできないのですが、アニメではドサクサ紛れにやっているので非常に困りものです。また、ローラーがないのにローラーダッシュしたりと、とにかく適当。とはいえ、A・Tなんてそれこそ数え切れないほど存在しているわけですし、パーツのちょっとした追加や改造なんて楽にできるのかもしれません。そこらへんの適当さを許容できるのがボトムズの魅力だと思いますので、どこかの馬鹿みたいに「リアル! リアル!」と叫び続ける作品も見習って欲しいですね。
(鍵っ子ザンギュラ)