マシュマロ・ボーイ/雁夜崎亜也

皆様こんばんは、そしておはやうございます。素敵な夜をお過ごしでしょうか?

本日のMJ担当(MangaJockey)、NEGIです。

さてさて、今日も宇宙に向けて発信しております当番組、Bjorkの「Pagan Poetry」を聴きながら本日のメインディッシュをご紹介いたしましょう。フェティシズムの美学、科学、いい男。三本揃った新人作家の作品「マシュマロ・ボーイ」。語尾にボーイとつくだけでなんともエレクトロな響きに聞こえますが決してロボータが登場する漫画ではありません。女性の身体はマシュマロのようだなんて、誰が形容したのでしょう。それはマシュマロの本質をわかっていない青々とした坊主頭の少年が言うことではないのでしょうか。

マシュマロは白く柔らかで、甘いことと引き換えに熱に弱く、溶けやすいという欠点を持っています。もちろん、欠点を欠点とせず焼いたりココアに乗せたりしてお召し上がりになれば良いとのことですが、これがマシュマロではなく恋愛だとしたら、焼いて溶かして舐めるわけにはいかず、お互いが一つになることがないままどちらかが火の中に落ちて消えてしまいますよね。どんな恋愛だって溶けた恋愛はOneMoreTimeなんてあり得ないし、面白くない。相手を溶かそうとやっきになるからこそ面白いのです。

そんなマシュマロ的恋愛を中心に作品ではマシュマロを愛するがあまりの奇行を編み出して夜な夜な夜伽のお相手をさせてている主人公が登場します。彼は自分が異常ということに気づかないままマシュマロを作り続けているのです。どんなに時間をかけてもつながってしまえば一晩で溶けてしまうマシュマロを消費することはすなわちフェティシズム、記号愛であって、あまりにもはかない美ではないでしょうか。舐める度に溶けていく体でも執着せざるを得ない主人公の苦悶が今策ではあまり描かれていないのが微妙ですが、是非連載してモンモンとマシュマロと向かい合って欲しいものです。


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*1:エロティクスF第19回太田エロティック・マンガ賞奨励賞受賞作品 Vol.46掲載