青いドライヴ

青いドライヴ (ウィングス・コミックス)

青いドライヴ (ウィングス・コミックス)

このマンガの作者、橋本みつるの作品を語るのは難しい。
独特の作風からファンを獲得しつつも、なかなか日の目を見ないまま「そういえば今何してるのかなー…」といわれ始めた今、Wingsに復活。それを祝ってレビューします。


表題作「青いドライヴ」は、昔付き合っていた今は亡き彼が、車に乗って主人公に会いに来る。彼が死んだ事故以来、本当は日々を上手く過ごしきれていなかった主人公が、ゆっくりと現実に向かっていく、という内容。
文章にしてしまえばそれだけのエピソードなのだが、彼女の全作品に共通するネーム力、「画面で魅せる」という異質なセンス、独特の絵柄に惹きつけられ、なんとも言えぬ雰囲気が心に残る一作である。
嬉しい。哀しい。このアンビバレンスを上手く表現している人を初めて見た気がする。エピソードの盛り込み方が上手い。こう思うから、こう言って、こう行動するのだ。と説得力があり、出てくる人達に好感がもてるのだ。基本的な事だが、こういう基本的な事をさりげなく上手く描くあたりが才能であると思う。
収録作の「苺の夢」では、主人公の少女が自分の恋に気付くまでの過程が描かれているのだが、秀逸。こういう漫画家がいるからオタクはやめられない。
やはり上手くかけませんでした。語るより、感じるマンガです。