ソラニン

ソラニン 1 (ヤングサンデーコミックス)

ソラニン 1 (ヤングサンデーコミックス)

この作品は高校生2年生、大学3年生、社会人になってから、それぞれ読み返していきたいマンガです。
きっとそれぞれで違う読後感を持つはず。

社会人2年目の主人公たちが、日々の生活になんとはない不満を感じながらそれぞれの、今しかできない、やりたいことをやってみる、という話。
会社での仕事に全く充実感の感じられない主人公、芽衣子。芽衣子の同棲相手で雑誌の下請けの仕事を続けながらも音楽への夢を捨てきれず、フリーター生活を続ける種田。彼らを軸に周りのバンドメンバーを含めて、今というこの瞬間をどうやって生きていけばいいのかを悩み、迷う姿が描かれる。

ありふれた話であるようで、身をつままされたような気がするのは自分にも重なるところがあるからか。

すべての人には、その人の富貴や名誉とは関係なく、1日24時間が残されている。大学入学から卒業までを考えると、社会に出ていくまでに残された時間はそれほど多くない。そうして気づいた時には何らかの「選択」を迫られている。
その時には「今」やったことが「異常」なまでの充実感を伴って跳ね返ってくる。

きっと目の前を横切った、まだ母親に手をひかれているようなあの小さな男の子もいつか、あっという間に何もわからないままに、そうやって選択を迫られ、大人になっていくんだろう。
自ら進んで大人になるのか、それともそれに最後まで抵抗するのか、はたまた無抵抗のまま大人になってくのか。
それがもしかすると小さな分かれ道かもしれない。


そんなことを考えさせられるからこそ、受験や就職に進路を悩む高校生2年生、就職活動中の大学3年生、いったん進路の「選択」を終えてしまった社会人のひとたちに是非読んでほしい作品。