惣領冬実「チェーザレ」
- 作者: 惣領冬実
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/04/23
- メディア: コミック
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『バガボンド』のためにモーニングを読んでいたとき、たまたま出会った作品。
最初、『チェーザレ』というタイトルを見たときに古代ローマの政治家G.J.カエサルの話かと思った。しかし、実際に読んでみて、マンガで取り上げられているのがイタリア ルネサンス期の軍人*1であることが判明。
主人公の名はアンジェロ・ダ・カノッサ。彼はフィレンチェの富豪ロレンツォ・デ・メディチに才能を見込まれ、ピサのサンピエツァ大学に編入するが、そこでメディチ家の子息であるジョヴァンニの面子を潰してしまう。大学内の派閥であるフィオレンティーナ団*2に居づらくなったアンジェロは、他の派閥であるスペイン団の代表チェーザレと出会う。
自分がこの作品を好きになったのは、架空の人物を織り交ぜながらチェーザレという人物を紐解いていく展開だと思う。
「私の母は娼婦 そして父は怪物だ」という彼のセリフに見られるように彼は普通の家庭とは違う家庭に生まれた。そんな彼がどのような人生を送り、どうやって巨大な軍勢を従えるまでに至ったのか?
当時のイタリアの様子を派閥の利権争いから洞察しているのも注目すべき点である。歴史の表舞台には出てこないことも分かりやすく解説されている。舞台となったイタリアでも出版が予定されているらしい。
巻末にも書かれているが参考文献の量が半端ではない。同じ量の文献を使った字だけの論文を読んでいるのとはまた違うおもしさがある。歴史を勉強する者として言ってはいけないことを言ってしまった気がする。
*1:チェーザレ・ボルジア (1475年9月13日or14日 - 1507年3月12日) 。レオナルド・ダ・ヴィンチやフィレンチェの富豪メディチ家とも親交があった。
*2:ジョヴァンニが代表。